【前編】「加齢臭」はひとつのニオイではない ── 正体を分けて考える

この記事の要点

  • 「加齢臭」は複数のニオイの総称。単一の物質では説明できない
  • 皮脂の酸化で生じる「ノネナール」が目立つのは50歳代以降
  • 30〜40歳代の脂っぽいニオイは細菌由来。酸化ではない
  • 60歳を超えてもほとんど出ない方もいる。個人差が大きい

ノネナールが生まれる流れ

2001年に発表された研究で、加齢とともに増える体臭成分が特定されました。

項目内容
対象26〜75歳の男女22名
検出された物質2-ノネナール
検出された年代40歳以上のみ
ニオイの質脂っぽさと青臭さ
実施資生堂の研究部門

生成の流れは単純です。

皮脂のω7不飽和脂肪酸 → 酸化・分解 → 2-ノネナール

加齢に伴い、三つの変化が同時に進みます。

  • 原料となる脂肪酸が増える
  • 酸化した脂(過酸化脂質)が増える
  • 酸化を抑える体の働きが低下する

「加齢臭」という呼び名も、一連の研究から広まりました。

年齢だけでは決まらない

  • 60歳を超えてもノネナールがほとんど検出されない方が複数いた
  • 年齢が上がれば一律に強まる、という性質ではない
  • 男性特有ではない。40歳代以降の男性と、閉経後の女性にみられる体臭

30〜40歳代のニオイは別物

2013年、マンダムの研究チームが、まったく別の仕組みで生じる物質を報告しました。

項目内容
物質ジアセチル
年代30〜40歳代
発生部位頭部とその周辺
仕組み汗の乳酸を表皮ブドウ球菌などが代謝
酸化との関係なし

三つのニオイの整理

ニオイ主な年代発生の仕組み主な部位
汗のニオイ全年代汗の成分を
皮膚常在菌が代謝
わきなど
脂っぽいニオイ30〜40歳代汗の乳酸を
皮膚常在菌が代謝
頭部とその周辺
加齢臭50歳代以降皮脂の脂肪酸が酸化・分解上半身を中心に

「体のサビ」で説明できるのは、三つのうちノネナールに限られます。

いずれも、清潔さを欠いているから発生するものではありません。皮脂の成分が年齢とともに変わること、汗を皮膚の常在菌が分解することは、健康な体で起きている現象です。


後編では、食事にできること・できないことを整理します。仕組みが違えば、有効な対策も変わります。

出典

  • Haze S, et al. 2-Nonenal newly found in human body odor tends to increase with aging. J Invest Dermatol. 2001;116(4):520-524.
  • 株式会社マンダム「ミドル脂臭の原因成分ジアセチルの特定」(2013年発表)

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