プロテインだけでは補えないもの──食材が届ける栄養
前編では、たんぱく質1gあたりの価格で見ると、プロテインは食材の中で特別に安いわけではないことをお伝えしました。
後編では、価格の先にある違いに目を向けます。同じたんぱく質を補うとしても、食材とプロテインでは、一緒に得られる栄養素が異なります。
プロテインパウダーは、原料からたんぱく質を高い純度で取り出したものです。効率よくたんぱく質を補える一方で、原料に含まれていた他の栄養素の多くは、製造の過程で取り除かれています。食材との違いは、この点にあらわれます。
食材が一緒に届ける栄養素
たとえば卵や肉、魚には、たんぱく質と同時に、体の働きを支える栄養素が含まれています。プロテインパウダーには、こうした栄養素はほとんど含まれていません。
動物性のたんぱく質源に含まれる主な栄養素
- 鉄:赤身の肉や魚、卵などに含まれ、不足すると疲れやすさにつながることがあります。牛赤身肉や卵は、鉄の供給源になります。
- 亜鉛:肉や魚に多く含まれ、体のさまざまな働きに関わります。牛赤身肉や豚肉が供給源です。
- ビタミンB12:魚や肉、卵など動物性の食品に含まれます。たらや牛肉、卵から摂ることができます。
市販のプロテインには、ビタミンB群やビタミンCが加えられた製品もあります。ただし、加えられる栄養素は製品ごとに決まっており、食材が自然に備える組み合わせとは異なります。食材は、たんぱく質とあわせて鉄や亜鉛、ビタミンB12などをまとめて届けてくれます。
プロテインが役立つ場面もある
ここまで食材の利点をお伝えしましたが、プロテインが否定されるわけではありません。プロテインには、食材にはない使いやすさがあります。
プロテインが補助として役立つ場面
・食欲が落ちて、食事から十分なたんぱく質を摂りにくいとき
・運動の後などで、すぐに固形物を用意しにくいとき
・忙しい朝など、調理の時間を取りにくいとき
こうした場面では、手軽にたんぱく質を補えるプロテインが助けになります。食事で足りない分を補う道具として使うと、無理なく取り入れられます。
主役は食事、プロテインは補助
食材は、たんぱく質と一緒に、鉄や亜鉛、ビタミンB12といった栄養素を届けてくれます。プロテインは、その食事で足りない分を補う役割に向いています。食事を土台に置き、必要な場面でプロテインを添える。この組み合わせが、無理のない付き合い方だと考えられます。
前編と後編を通じて、価格と栄養の両面からプロテインを見てきました。プロテインは、たんぱく質を効率よく補える便利な選択肢です。一方で、食材が届ける栄養の広がりは、プロテインだけでは補いきれません。プロテインを主役にするのではなく、日々の食事を支える補助として、うまく取り入れてみてはいかがでしょうか。
「プロテインとどう付き合うか」シリーズ(全2回) 完
※食品に含まれる栄養素は「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」に基づきます。
※プロテインの成分は明治「ザバス ホエイプロテイン100」「ザバス ソイプロテイン100」の製品栄養成分表示(執筆時点)に基づきます。プロテインは商品ごとに成分に幅があるため、国内の粉末プロテイン市場でシェアが最も大きい明治の製品を代表例として採用しました。
※特定の栄養素の摂取が必要な場合や持病がある場合は、自己判断とせず、医師や薬剤師などの専門職にご相談ください。

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