食料費は「何でできている」?
― 中身を割合で見てみる
前回は、エンゲル係数(食費の割合)が高くても、それが「我慢」なのか「選択」なのかは数字だけでは分からない、というお話でした。今回はもう一歩、食料費の中身に入ります。同じ食費でも、何にお金が向かっているかで家計の物語はずいぶん変わります。全国平均の中身を見たうえで、自分の食費を読み解く方法までお渡しします。
はじめに全国平均の「中身」
家計調査(2024年・二人以上の世帯)では、食料費は1か月あたり平均89,936円でした。これを大きく5つに分けて、食料費に占める割合を出すと、次のようになります。食料費は何でできている? 二人以上の世帯・2024年平均(月 約89,936円=100%) 素材(家庭調理) 48.1% 外食 17.4% 中食(調理食品) 14.5% 嗜好品(菓子・酒) 13.8% 飲料 6.2% 家での調理が約半分。外食+中食で約3割。
「素材(家庭調理)」は穀類・肉・魚・野菜・乳卵・果物・油脂調味料の合計。割合は公表値から算出。
家での調理に使う素材がほぼ半分(48.1%)。外食(17.4%)と中食=調理食品(14.5%)を合わせると約3割(31.8%)です。菓子類と酒類の嗜好品はあわせて13.8%でした。これが、いまの日本の「平均的な食卓の中身」です。
同じ食費でも、中身で物語が変わる
ここが今回の芯です。食費の総額が同じでも、中身の比率が違えば、暮らし方はまるで違います。
素材の割合が高い家計は、家で料理する時間と手間をかけている暮らしです。前回ふれた「家計に余裕があるからではなく、選択的に食費が高くなっている世帯」は、まさにここに表れます。反対に外食・中食の割合が高い家計は、お金で時間や手間を買っている暮らし。共働きで忙しい家庭などでは、これも立派な合理的な選択です。そして嗜好品の割合が低い家計は、前回の「酒や菓子をあまり買わない世帯」の姿が、数字としてはっきり見えてきます。
◎ 中身は「良し悪し」ではない
外食が多いから手抜き、素材が多いから偉い、ということではありません。中身は、その家庭が時間・手間・お金をどう配分しているかの反映です。どこに重心を置くかは、暮らし方次第です。
全国平均は、あくまで物差しの一つ
注意しておきたい点として、この平均値は幅の大きい数字だということです。単身か二人以上か、世帯主の年齢、共働きかどうかなど生活する前提条件で中身は大きく変わります。平均と比べて「自分は外食が多すぎる」と一喜一憂するためのものではありません。大切なのは、平均と自分を比べることではなく、自分の中身そのものを知ること。そのうえで、その配分が自分の納得のいくものかを確かめる――それが、健康づくりにも家計にも効いてきます。
自分の食費の内訳を出してみる
やり方はシンプルです。レシートか家計簿アプリの1か月分を、次の4つに仕分けて、それぞれの割合を出してみてください。
食費を4つに仕分ける
- 素材 米・肉・魚・野菜・卵・乳製品・調味料など、家で料理する材料
- 外食 お店で食べた分
- 中食 惣菜・弁当・冷凍食品など、買ってきてそのまま食べる分
- 嗜好品など 菓子・酒・飲料
4つの割合が出たら、全国平均(素材48%/外食17%/中食15%/嗜好品14%/飲料6%)と並べてみます。ぴったり合わせる必要はありません。ずれている部分こそ、あなたの家計が何を大事にしているかを映しています。
詳しい内訳(食料費に占める割合・2024年)
| 費目 | 月平均 | 割合 |
|---|---|---|
| 外食 | 15,633円 | 17.4% |
| 調理食品(中食) | 12,998円 | 14.5% |
| 野菜・海藻 | 9,340円 | 10.4% |
| 菓子類 | 8,701円 | 9.7% |
| 肉類 | 8,277円 | 9.2% |
| 穀類 | 7,422円 | 8.3% |
| 魚介類 | 6,226円 | 6.9% |
| 飲料 | 5,602円 | 6.2% |
| 乳卵類 | 4,334円 | 4.8% |
| 油脂・調味料 | 4,099円 | 4.6% |
| 酒類 | 3,747円 | 4.2% |
| 果物 | 3,555円 | 4.0% |
このシリーズ
▶ 第1回:エンゲル係数が高い=生活が苦しい?▶ 第3回:削れる支出・削れない支出という分c方(次回)
食料費は、ひとかたまりの「食費」ではなく、素材・外食・中食・嗜好品といった中身の集まりです。割合で見ると、自分の家計がどこに重心を置いているかが見えてきます。次回は、この中身を「削れる支出・削れない支出」という別の切り口で見直し、総務省が必需と選択をどう線引きしているかをのぞいてみます。
出典:食料費および費目別の月平均額(外食15,633円、調理食品12,998円ほか、二人以上の世帯)は、総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果の概要」による。食料費に占める各費目の割合(構成比)および5グループへの集計は、同概要の公表値をもとに算出した。割合は四捨五入のため合計が100%に一致しない場合がある。

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