食べものを見る目をやしなう

「健康そうな食品」も“超加工食品”かもしれない
― トクホとUPFは、別のものさしで見る

最近、超加工食品(UPF)をよく食べる方ほど注意力や情報処理の速さが下がる、という関連を報告した研究が話題になりました。気になるのは「健康的な食事を心がけている方」でも、同じような傾向がみられた点です。健康を意識しているのに、なぜ?――そのカギは、わたしたちが食品を見るときの「ものさし」にあります。

そもそも「超加工食品」とは

超加工食品(UPF)は、ブラジルの研究者が考案したNOVA分類という「加工の度合い」で食品を4つに分ける考え方の、いちばん加工度が高いグループです。家庭の台所にはまず置いていない工業的な成分(分離たんぱく質、加工でんぷん、果糖ぶどう糖液糖など)や、乳化剤・人工甘味料・香料といった添加物で、おいしさや見た目、日持ちを高めた製品が当てはまります。

  • グループ1 未加工・最小限の加工 … 野菜・果物・肉・魚・卵・米・牛乳
  • グループ2 調理に使う素材 … 油・バター・砂糖・塩
  • グループ3 シンプルな加工食品 … チーズ・缶詰・パン・燻製肉
  • グループ4 超加工食品(UPF) … 清涼飲料・スナック菓子・即席麺・菓子パン・成形肉など

「健康によい表示」と「加工度」は、別の軸

ここが今日いちばんお伝えしたいところです。「おなかの調子を整える」「脂肪の吸収をおだやかに」といったトクホや機能性表示食品の表示は、機能性を表示してよいかどうかという制度上のものさしです。一方でUPFは加工の度合いのものさし。この二つは、まったく別の方向を向いています。

加工度 ひくい ───→ たかい 機能性表示 なし →あり 表示あり × 加工度ひくい 機能性表示のみかん・トマト・ブリ 表示あり × 加工度たかい トクホ飲料・機能性表示の菓子など 表示なし × 加工度ひくい ふつうの野菜・魚・卵・米 表示なし × 加工度たかい スナック菓子・清涼飲料・即席麺

「健康によい表示」があっても、加工度の軸では右側(=UPF寄り)に位置することがあります。

たとえば、トクホのお茶や“脂肪の吸収を抑える”系の飲料は、工業的に配合された製品なので、加工度の軸では超加工食品に入ることが少なくありません。反対に、機能性表示食品にはみかん・トマト・ブリのような生鮮食品もあり、こちらは加工度がいちばん低いグループ1です。

◎ つまり、こういうこと

「健康によい表示があるか」と「どれだけ加工されているか」は、別々に見る必要があります。トクホだから加工度が低い、わけではないのです。

では、どうつき合うか

大事なのは「UPFをゼロにする」ことではありません。即席麺も清涼飲料も、忙しい日々を支えてくれる便利な存在です。極端にすべてを避けるのは、現実的でも長続きもしません。めざしたいのは、“いつものものさし”を一本増やすこと。商品を手に取るとき、栄養表示や機能性表示だけでなく、「これは加工度でいうとどのあたりだろう?」と一拍おいて見る習慣です。

毎日に取り入れる、ゆるい3つの目安

1 表示の“健康そう”だけで安心しない。加工度も一緒に見る。

2 平日は便利な加工食品に頼り、休日は加工度の低い食卓に寄せる――くらいのゆらぎでOK。

3 原材料表示が短く、台所にある言葉で書かれているものほど、加工度は低めの傾向。

「健康的な食事を心がけている方」でも研究で同じ傾向がみられたのは、おそらくこの“見分けにくさ”が関係しています。トクホや機能性表示は心強い情報ですが、それと加工度は別の話。両方のものさしを持っておくと、棚の前での選択がぐっと自分のものになります。

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研究はいずれも「関連がみられた」という観察にもとづくもので、超加工食品が原因だと言い切れる段階ではありません。それでも、毎日の選び方に“加工度”という視点を一つ加えておくことは、これからの食卓づくりにそっと役立ってくれるはずです。

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