この記事の要点
- 摂食嚥下の3番目の段階が「口腔期」。まとまった食塊をのどへ送り込む段階
- 送り出しているのは舌。前から後ろへ順に押し付けるように動く
- 軟口蓋が持ち上がり、鼻へ通じる道をふさぐ
- 自分の意思で止められるのは、この口腔期まで
「食べている」時の口の中はどうなっているのか
前回は、噛んで飲み込める形をつくる準備期を取り上げました。今回は、そのかたまりをのどへ送る段階です。
食べる・飲むという一連の動きは、5つの段階に分けて整理されます。
| 段階 | 起きていること |
|---|---|
| 先行期 | 食べ物を見て認識し、食べ方を判断する |
| 準備期 | 噛んで、飲み込みやすいかたまりにする |
| 口腔期 | 舌でのどへ送り込む |
| 咽頭期 | のどを通過させ、気管に入らないようにする |
| 食道期 | 食道を通って胃へ運ぶ |
この記事で扱うのは、3番目の「口腔期」です。
舌がのどへ押し送る
口の中でまとまった食塊は、そのままでは動きません。のどへ運んでいるのは舌です。
まず舌の先を上あごにつけ、そこから前、中央、奥へと順に押し付けていきます。この動きによって、食塊は後ろへ絞り出されるように送られます。舌を動かしているのは舌下神経です。
このとき、唇と頬も働いています。唇が閉じることで食べ物が前へこぼれず、頬に力が入ることで、歯と頬の間に食べ物が落ち込むのを防いでいます。
口腔期に要する時間は、およそ1秒程度とされています。意識にのぼらない短さですが、舌と口の周りの筋肉が同時に働いている場面です。
鼻へ流れないよう、軟口蓋が持ち上がる
食塊が奥へ向かうとき、のどの上では別の動きが起きています。軟口蓋が持ち上がり、鼻へ通じる道をふさぐ動きです。
上あごの奥、指で触れると柔らかい部分が軟口蓋にあたります。ここが上がって閉じることで、食べ物や飲み物が鼻へ抜けずにすんでいます。
もうひとつ、この段階には特徴があります。自分の意思で止められるのは、口腔期までという点です。
口に入れたものを飲み込む直前でやめることはできます。しかし次の咽頭期に入ると、動きは反射に切り替わり、途中で止めることはできません。
まとめ
食べているあいだ、口の中では舌が食塊を押し送り、軟口蓋が鼻への道をふさいでいます。いずれも意識せずに行われている動きです。
そして口腔期を過ぎると、飲み込む動作は自分では制御できない領域に入ります。
次回は、その反射が起きる「咽頭期」を取り上げます。誤嚥に最も関わる段階です。

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