【裏たね】摂食嚥下の5期モデル:食べるのはじまりはどこから

こんにちは、いつもありがとうございます。本日から、【裏たね】と題して、この、栄養のたねの裏番組を始めます。私たちの身体を栄養の視点から見たとき、どのように見えるのか?裏(裏たね)からみた表(栄養のたね)はどのように見えるのか、をみなさん自身で探していただけたらと思います。投稿は栄養のたねの投稿日ではない日の隔日を予定しています。

この記事の要点

  • 食べる・飲むという動作は、医療の現場では「摂食嚥下」と呼ばれ、5つの段階に分けて考える
  • 最初の段階は「先行期」。口を開ける前の、見て判断する段階
  • 食べ物を見た時点で唾液が増え、胃も受け入れの準備に入る
  • 過去に食べた記憶が、硬さ・温度・一口の量の見積もりに使われる

「食べる」のはじまりはどこから

食事の場面を思い浮かべると、多くの方は口に運ぶ瞬間を想像されるのではないでしょうか。ところが体の側から見ると、食べる動作はもっと前から始まっています。

食べる・飲むという一連の動きは、医療の現場では「摂食嚥下」と呼ばれます。そして、次の5つの段階に分けて整理されます。

段階起きていること
先行期食べ物を見て認識し、食べ方を判断する
準備期噛んで、飲み込みやすいかたまりにする
口腔期舌でのどへ送り込む
咽頭期のどを通過させ、気管に入らないようにする
食道期食道を通って胃へ運ぶ

この記事で扱うのは、いちばん最初の「先行期」です。

「みる」からはじまる

先行期は、認知期とも呼ばれます。目の前にあるものが食べ物かどうかを認識し、どの順番で、どのくらいの量を、どう食べるかを判断する段階です。

実際には、この判断はごく短い時間で終わります。意識にのぼることもほとんどありません。それでも、ここでの判断がその後の噛み方や飲み込み方を決めています。

逆に言えば、目の前のものを食べ物として認識できなければ、その先の動作は始まりません。食事が進まない背景に、口やのどではなく認識の問題が隠れていることがあります。

口に入れる前から、体は準備をはじめている

先行期に動いているのは、判断だけではありません。食べ物を見たり、匂いを感じたりした時点で、体は消化の準備に入ります。

唾液の分泌が増え、胃も消化液を出す準備を始めます。この、口に入る前に起きる分泌は「脳相」と呼ばれています。梅干しを思い浮かべただけで口の中に唾液がたまるのは、まさにこの反応です。

同時に、体は過去の記憶を参照しています。硬さはどのくらいか、熱いか、一口でどれだけ入れられるか。こうした見積もりは、これまで食べてきた経験から引き出されます。

見慣れない料理を前にすると、つい慎重に口へ運んでしまう。参照できる記憶がないため、体が見積もりを立てられないからです。

まとめ

食べることは、口に入れた瞬間に始まるのではありません。見て、判断し、体が準備を整えるところから始まっています。

次回は、噛んで飲み込みやすいかたまりをつくる「準備期」を取り上げます。

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