お菓子をやめたい。でも、やめられない。
そんなとき、多くの方がまず試すのが「我慢」です。買わない。家に置かない。目に見えないところにしまう。ところが数日から数週間もすると反動が来て、以前より食べてしまう。心当たりのある方は多いのではないでしょうか。
では逆に、「食べてもいい」と自分に許可を出すのはどうでしょうか。この方法が合う方は確かにいます。禁止をやめたことで、かえって執着が薄れていくのです。
ただ、合わない方もいます。我慢しなくてもいいと安心するどころか、「今日も食べてしまった」という感覚だけが積み上がっていく。もともとコントロールが難しいと感じている方にとっては、我慢しないことは逃げ道ではなく、単なる言い訳になってしまうことがあります。
「遠ざければ欲しくなくなる」は本当か
ここで一度、前提そのものを疑ってみたいと思います。
「甘いものに触れる機会を減らせば、だんだん欲しくなくなる」——これは、ほとんどの方が当然のこととして受け入れている考え方です。減らす、控える、視界から外す。健康情報の多くが、この前提の上に組み立てられています。
ところが、この考えを支える科学的な根拠は、思ったより弱いようです。
甘味への曝露と嗜好の関係を調べた21の研究をまとめた系統的レビュー(Appleton らによる2018年の報告)では、甘味に触れる機会を減らすことで甘いものへの好みや摂取量が変わるという説を、現在得られている証拠は支持していない、と結論づけられています。
つまり、甘味の摂取機会の減少 ≠ 甘味の摂取量の減少や嗜好の変化、ということです。
さらに、3か月間にわたって糖類を大幅に減らした食事を続けた研究では、興味深い結果が出ています。参加者は「同じ甘さをより強く感じる」ようになった一方で、「ちょうどよいと感じる甘さのレベル」そのものは変わらなかったのです。感じ方は変わっても、欲しい量は変わらなかった、ということになります。
現在も大規模な検証試験が進行中で、結論が出ているわけではありません。ただ、少なくとも「減らせば欲しくなくなる」を確実な前提として語れる段階ではない、とは言えそうです。
続かないのは、意志の問題ではないかもしれない
もしこの理解が正しいなら、我慢が続かないのは、意志が弱いからではないことになります。そもそも、その方法では変わらない仕組みだった。ただそれだけかもしれません。
減らしても変わらない。許可しても変わらない。
では、どうすればいいのでしょうか。
次回は、「減らす」でも「許す」でもない、第三の方法をご提案します。自分が本当はどれくらいの量を欲しているのか——それを、遠ざけるのではなく、置き換えて測ってみる、という考え方です。

コメント