化粧品だけ動かない、という不思議

前回は、化粧品市場(2兆6,500億円)とインナービューティ市場(2,000億円超)という、外側からのケアと内側からのケアの市場規模の差についてお話ししました。今回はその内側、女性一人ひとりの支出が年代とともにどう変わるのかを、データで見ていきます。

出典:総務省統計局「令和6年全国家計構造調査 個人的な収支に関する結果」第5-5表(2026年3月13日公表、基幹統計調査)


全国から無作為抽出した世帯を対象とする政府の基幹統計です。ここでの数字は「個人的な消費支出」、つまり家賃や光熱費など世帯で共有する支出を除いた、一人ひとりが自由に使えるお金の範囲での金額です。二人以上の世帯における女性の1人当たり月間支出額を年代別に示しています。

年代個人消費支出食料理美容用品
30歳未満38,954円11,572円(29.7%)3,200円(8.2%)
30〜39歳31,495円6,609円(21.0%)1,761円(5.6%)
40〜49歳32,221円9,383円(29.1%)2,974円(9.2%)
50〜59歳39,197円8,621円(22.0%)2,869円(7.3%)
60歳以上39,406円8,442円(21.4%)2,144円(5.4%)

データからわかる事実だけを述べると、理美容用品の割合は5.4〜9.2%の範囲で年代によって変動しており、40代がもっとも高くなっています。食料の割合は21〜30%の範囲で推移し、30代で最も低く、30歳未満と40代で高くなっています。どちらも「若いほど高い」「年齢とともに一定」といった単純な一方向の傾向ではありません。

ここからは推測です。40代で理美容用品の割合が上がる背景には、子育ての手が離れ始める時期であることや、仕事上の身だしなみに関わる支出が増えることなどが考えられますが、これは今回のデータから直接読み取れるものではなく、あくまで一つの見方としてご参考までに。

前回お伝えした市場規模の差(化粧品2.65兆円 vs インナービューティ2,000億円超)は、化粧品業界全体の出荷額をもとにした業界推計であるのに対し、今回の数字は総務省の基幹統計による個人の実支出です。同じ「化粧品にまつわるお金」でも、算出の母数も性質もまったく異なる数字である点は、混同せずに見ていただきたいところです。

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