食べ過ぎは「損」をする——予防にかかるコストと、放置した場合の医療費を比べてみた

健診でメタボや予備群と言われたことはありますか?「太っているだけでしょ」と放置している方も多いかもしれません。しかし実は、食べ過ぎによる影響は健康だけでなく、お財布にもはっきり出てきます。今回は、数字を使って「予防のコスト」「放置した場合の医療費」を比べてみます。

メタボになると、年間の医療費はいくら増えるか

メタボリックシンドロームは、内臓脂肪の蓄積に加えて高血圧・高血糖・脂質異常などが重なった状態です。自覚症状がほとんどないまま進行するため、つい後回しにしてしまいがちです。

ところが厚生労働省のデータによると、メタボ該当者の年間医療費は非該当者と比べて大きく違います。

📊 メタボ該当者と非該当者の年間医療費の差(1人あたり)

性別年間の医療費の差
男性約8〜9万円 多い
女性約10〜18万円 多い

出典:厚生労働省調査(第一生命経済研究所レポートより)

毎年これだけの差が積み重なっていくと考えると、見過ごせない数字です。5年放置すれば、男性で40〜45万円、女性では50〜90万円の医療費の差になる計算です。

「予防」にかかるコストはいくらか

メタボや予備群と判定された方には、「特定保健指導」という公的なサポートが受けられます。保健師や管理栄養士が食事・運動・生活習慣を一緒に見直してくれる制度で、多くの場合、被保険者本人は無料か低負担で受けられます。

制度全体のコストとして、保険者(健康保険組合など)が負担する上限額を見ると、次のようになっています。

💴 特定保健指導の費用(1人あたり・保険者負担上限)

支援の種類費用の目安対象
動機付け支援約9,300円リスクが比較的低い方
積極的支援約27,500円リスクが高い方

出典:協会けんぽ 2024年度

コストを比べると、差は歴然

2つの数字を並べると、こんなふうになります。

積極的支援(最大 約27,500円)を1回受けるだけで、
放置した場合に毎年余分にかかる医療費(約8〜18万円)を
3〜6倍以上、回収できる可能性がある

もちろん、指導を受けたからといって必ず改善するや、医療費の差がそのまま消えるわけではありません。なぜなら、公的サポートといえど自助努力が必要だからです。ただ、予防にかかるコストと放置した場合の損失を比べると、「受けない理由を探す方が難しい」という構図が見えてきます。

なぜ、それでも多くの人が受けないのか

2022年度の特定保健指導の実施率26.5%。対象者は約512万人いるにもかかわらず、実際に指導を完了したのは約135万人です。4人中3人は、対象になっても受けていません。

理由はさまざまでしょう。「忙しい」「自分はまだ大丈夫」「何をされるかわからない」。でも制度のしくみを知ると、もったいない選択をしていると気づく方も多いはずです。

特定保健指導で受けられるのは、食事・運動・睡眠などを専門家と一緒に整理する時間です。薬を処方されたり、厳しく叱られたりする場ではありません。

食べ方を変えることは、医療費を変えること

「食べ過ぎをやめる」というと、我慢や制限のイメージがあります。でも本当の意味でのコスパを考えると、食べ方を整えることは将来の医療費を減らすことにつながります。

今すぐできることは小さくていい。毎食の野菜の量を少し増やす、夜遅い食事を見直す、そういった積み重ねが、10年後のお財布と体を守ります。

📝 この記事のまとめ

  • メタボ該当者の年間医療費は、非該当者より男性で約8〜9万円、女性で約10〜18万円高い
  • 特定保健指導のコストは1人あたり約9,300〜27,500円。多くの場合、本人負担はゼロ
  • 予防コストと放置した場合の損失を比べると、差は3〜6倍以上になる
  • 食べ方を見直すことは、健康だけでなく経済的にも合理的な選択

参考:厚生労働省「2022年度特定健康診査・特定保健指導の実施状況」/第一生命経済研究所「脱・メタボがもたらす医療費抑制のインパクト」(2023年)/全国健康保険協会(協会けんぽ)特定保健指導案内

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