災害への備え、「いつもの食品」でできています【前編】

9月といえば、防災月間。教育機関では防災訓練が行われ、企業でも備蓄品の確認や防災イベントを開催するところが増えてきます。この月間は1923年の関東大震災に由来する歴史あるものですが、2011年の東日本大震災やその後も続く各地の地震を経て、「月間だから備える」から「常に備える」へと意識が変わってきました。今回は災害時の食について、過去の事例とともに備え方をお伝えします。

1. 災害のとき、本当に足りなくなるもの

災害への備えというと、乾パンや水を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし過去の災害が教えてくれたのは、「エネルギーだけでは足りない」ということでした。

東日本大震災の際、宮城県のある避難所で7週間の食事を調査したところ、体をつくるもとになる「たんぱく質」も、体の調子を整える「ビタミンC」も、必要な量に達していませんでした。特にビタミンCは必要量の3分の1ほど。県内の避難所の約9割でカロリー不足、7〜8割でたんぱく質やビタミン不足だったという報告もあります。

理由はシンプルです。支援物資はおにぎり、パン、カップ麺が中心になりがちで、肉や魚、野菜、果物はなかなか届かない、健康や栄養を考える暇がない緊急事態だから。その結果、口内炎や便秘、体力の低下といった不調につながりやすくなります。

つまり備えのポイントは、「お腹を満たすもの」に加えて「体を守るもの」も用意しておくことなんです。

2. 特別な非常食はいらない。「ローリングストック」のすすめ

そこでおすすめなのが「ローリングストック」。難しいことは何もなくて、いつも食べている食品を少し多めに買っておき、食べたら買い足す。これだけです。

賞味期限切れの心配が減り、災害時にも食べ慣れた味でほっとできる。農林水産省もすすめている方法です。

そろえるときは、この3つを意識してみてください。

  • :1人1日3リットルが目安。まずは3日分から
  • たんぱく質のとれるもの:ツナ缶、サバ缶、レトルトの肉料理など
  • ビタミンのとれるもの:野菜ジュース、果物の缶詰、ドライフルーツなど

余力に応じてカセットコンロがあると温かい食事がとれて、心も体も助かります。また、赤ちゃんや高齢の方、食物アレルギーのある方がいるご家庭は、その人に合った食品を忘れずに備えましょう。

災害への備えは、特別な買い物ではなくいつもの食品を切らさない」こと。今日の買い物から、缶詰をひとつ多めにカゴへ入れてみませんか。

とはいえ、気になるのは「実際いくらかかるの?」というところ。後編では、大人2人・3日分の備えにかかる金額を、水も含めて具体的に計算してみます。


参考:農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」、東日本大震災の避難所における食事調査報告

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